March 09, 2006

ウイリアム・シェイクスピア

静かな想いにさそわれて
わたしが心の奥深く過ぎ去ったことどもをあれこれ思い出していると
かつて求めたものが数多く見当たらないのに溜め息が出てくる
昔の苦悩が今さらのように蘇り
時の空しさが身にしみてくる

そうだ 死の底知れぬ暗夜に消え去った親しい者たちが偲ばれ
滅多に流したこともない涙が眼に滲みでてくる
そして遠く過ぎ去った愛の苦悩が胸にこみ上げてきて
姿を消していった多くの親しい者を悼まないではいられない

さらにまた かつての悲しみを思い出しては悲しみ
以前に涙とともに洗い流したはずの苦 しみを
一つ一つ数えたててはまた心を痛め
まだその清算がすんでいないかのように
あらためて清算しようとする始末だ

だが それなのに
君の姿を思い浮かべるや否や
損失はすべて帳消しになり
悲観は忽ち消えてゆく

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